あんしぇんぬのブログ

古いことを意味するフランス語のancienne 。流行には敏感じゃないけど、こだわりは強いaround fifty。ブログ内ではアーティストの敬称は略させていただきます。

アメリカンコーラスの歴史 From Barbershop to ... 中村とうよう

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去年地元の図書館で、中村とうよう氏監修の「アメリカンコーラスの歴史 From Barbershop To Doo-Wop To Hip-Hop 」というCDを見つけました。

ドゥーワップのことは自分では結構知っているつもりだったのですが、前後の流れってわからないから興味が湧きました。中村氏の監修ですから間違いない内容でしょう…

それに、特別寄稿:山下達郎 とあるじゃないですか。これは借りるっきゃありません。

さて家に帰って解説をじっくり読もうとしたら、2曲目からの解説が全部抜けてるんです。それと歌詞が約半分。12ページ分。ひどいと思いませんか。図書館のCDって解説書がないものよく見かけるんですよね。解説読みたいなってものに限って、ない事が多いんです。

それでも、このCDタイトルにバーバーショップという単語が入ってる理由がわかりましたし、この情報だけでも、私にとっては結構貴重だったかなと思います。

以下、1曲目のミルス・ブラザーズの曲の解説そのまま引用いたします。

「常識的に言ってアメリカでのコーラスの大元は教会の讃美歌だろう。それを民衆の娯楽に転換した最初が、19世紀に広く行われたバーバーショップ・クァルテットだった。床屋で順番待ちのあいだに客たちがコーラスするという現象で、楽譜も見ず、伴奏なし(アカペラ)だから、メロディに3度や5度の平行でハーモニーをつけるシンプルな形が基本。その典型的な形を、自分たち自身が床屋一家だったミルスが聞かせてくれる。...以下省略」

なるほど、床屋の順番待ちに歌っちゃうという、あちらの文化ってすごい...

中村氏はこうも書かれています。

「日本では単旋律の節回しが基本、それに対して欧米ではクラシックでもポピュラー音楽でもハーモニーが重要だ。どちらが優れているかということではなく、文化の違いであり、欧米ではキリスト教の宗教音楽がそういった伝統を育んできたのだろう。それだけに、欧米の音楽に接する日本人には、ハーモニーの魅力というものがことさら大きく感じられる。」

はい、まったくもってその通りです。

音楽のほうはといいますと、一曲目から素朴で品格のあるハーモニーが聴けます。1940年のものです。

このCDに収録されている音源ではありませんが YouTube を貼り付けます。


The Mills Brothers - When You Were Sweet Sixteen 1947

2曲目が一番古いもので1920年。若干イタリア歌曲のような巻き舌を感じます。

このCDは黒人白人混じっていて、ゴスペル的ボーカルもあり、明らかに白人のボーカルもありです。女性コーラスも割と収録されています。

伴奏形態は、ジャズの源流を感じるようなシンプルなものから、しだいにリズムアンドブルースやスイングジャズとかに枝分かれしていく様子を感じることができました。コーラスだけではなく、アメリカのポピュラー音楽の歴史も凝縮されているCDなのかもしれません。

懐かしいロンパールームのテーマ曲もありました。Pop goes the weasel という曲です。イギリスのナーサリーライムかもしれません。参考のため、全然関係ない音源ですが貼り付けておきます。


Pop Goes the Weasel

中盤からはムーングロウズ、フラミンゴズなど、なじみのあるドゥーワップグループ名も出てきます。白人のコーラスもいいですね。ハイローズ、アニタ・カーシンガーズ。

カーティス・メイフィールドのインプレッションズや、ジェッツもありました。まさかこんなところで、懐かしのジェッツの曲を聴くとは思ってもいませんでした。結構好きだったんですよ。ポリネシア系の兄弟中心のグループだったような気がします。中村氏が選んでるってことは、レベルが高いことの証しなのか...


The Jets - "Rocket 2 U" Music Video HQ

 

最後は K-Ci & JoJo...何このカッコよさ


K-Ci & Jo Jo - Life (1999)

 

アメリカンコーラス100年の歴史全28曲。解説があれば、もっと深く理解できたのに、残念です。

特別寄稿のほうは相変わらずの達郎節炸裂でした。 

 

気を取り直して話を続けます。このCDで学習したおかげで、一つの単語「バーバーショップ」という言葉が、私の頭の中でコーラスと紐づけされました。

英語の勉強のために、アメリカ本国のラジオでも聞いてみようかな、と思った時があって、ネットでラジオ局の事とか調べてたら、目に入ってきました。

その名も Barber Shop Show

シカゴのvocaloというラジオ局の番組です。

きっと、音楽番組に違いないと思いきや、結構真面目なトーク番組でした。ローカルなゲストを招いてシカゴの社会問題や芸能など幅広い話題が提供されているようです。そして、さすがシカゴ、オープニングの曲がカッコいいのです。

ブラウザでも聞けますが、私はポッドキャストで聞いてみました。(あまり聞き取れないけど)

ポッドキャストってアプリなんですね。初めて使ってみました。過去の放送がストリーミングできました。それぞれの放送内容も文字で説明されています。なんとなくラジオが聴ける代物だとは知っていたのですが…いい時代になりました。

そして、シカゴ出身のビッグな音楽家がゲストの時がありました。

司会がリチャード・スティルという黒人のおじさんで、この人の75歳の誕生日を祝うために特別ゲストとして登場したのが、この2人...

 

メイビス・ステイプル

 ゴスペル/R&Bグループのステイプルシンガーズの元メンバー

 

ジーン・チャンドラー

The (ジと強調する) Duke of Earl Gene Chandler と紹介してまして...この曲、この人、どれだけ有名なんでしょう。

「みんな知ってるよね、♪du du 」「三つ数えるよ one,two,three」とスタジオにいる人たちを促して The Duke of Earl の合唱が始まります。

お話によるとシカゴには Gene Duke Chandler Way というストリートがあるそうです。

本当にすごいヒット曲だったのですね。

コーラスの歴史をお勉強したおかげで面白いものが聞けて良かったです。

  


Gene Chandler - Duke of Earl & lyrics