シネマ的ローラ・ニーロの聴き方 「魂の叫び 」
ローラ・ニーロの4thアルバム Christmas And Beads Of Sweat ( 邦題 魂の叫び ) を聴いている。これは傑作かもしれない。芸術という言葉が頭をよぎる。
プロデューサーはアリフ・マーディンとフェリックス・キャヴァリエ。この組み合わせはラスカルズというわけだが、ライナーノーツによるとA面がマーディン、B面がキャヴァリエと書かれているが、他の人のサイトを読むと逆のことが書かれている。そうかもしれない...
どうなんだろう?
人によって聴き方は違うが、私にとって、このアルバムの聴きどころはB面に集中している。
A面
- Brown earth
- When I was a freeport and you were the main drag
- Blackpatch
- Been on a train
- Up on the roof
B面
- Upstairs by a chinese lamp
- Map to the treasure
- Beads of sweat
- Christmas in my soul
私はまず一番最初にB面から聴き始める。と言っても当然CDなので6曲目から聴くわけだけれど。
B-1はプレミアムベストで聴いていた曲。いきなり異国情緒あふれる世界、妖しいチャイナタウンに足を踏み入れてしまうのがいい。ローラのボーカルはいつもよりソフト。ずっとお琴だと思っていた音は、実際はハープであるとライナーノーツを読んで知った。B面でハープを弾いているのは、あのコルトレーンの奥さんだそうだ。
B-2は切れ目なく前の曲とハープの音できれいにつながっている。舞台をスパニッシュハーレムに移して曲調は静かに流れていくのだが、だんだんとローラのピアノが激しくなっていく。息もつけない。
B-3前の曲とのつながりは穏やかに、ためをつくりつつ、いきなり激しいバンドサウンド。落差が凄い。サイケにハイウェイを突っ走る。
B-4このアルバムの核となるクライマックスの曲。邦題のごとく、魂の叫びとも言える。せつない響きに引き込まれ、ローラの叫びが美しく突き刺さる...これを聴くと泣きたい衝動にかられる。
B面が終わると、余りにも気持ちが揺さぶられて落ち着きどころがない。
だがこのすぐ後にA面が聴けるようにリピートにしておく。
A-1の朝の唄が優しく温かく受け止めてくれるのだ。非常に重い曲の直後だからこそ、このポジティブなメッセージがより身にしみる。
この後、明暗の波はあるけれど、A面は私にとってクールダウンの役割を果たしてくれる。
このように1枚を聴くと、まるで上質な映画を観たように、日常とまったく切り離された特別な空間に深く入り込んでしまうのだ。
エンドロールは、A-5 のゴフィン/キング作品で。ほっとした気持ちになって劇場を出よう。
追記
素晴らしい音楽内容なので、ジャケットをぞんざいに扱うわけがないのに、この絵は私的にはちょっと...だった。それになぜ点描画?と思っていたが、やっと合点がいった。
点描が beads of sweat (汗のしずく、玉の汗)をイメージしているに違いない。